はじめに

日々の業務でExcelやGoogleスプレッドシートを開かない日はない、という方も多いのではないでしょうか。データ集計やレポート作成など、便利なツールである一方、繰り返しの単純作業に多くの時間を費やしているケースも少なくありません。

もし、そうした定型業務を「日本語でお願いするだけ」で自動化できるとしたら、あなたの仕事は劇的に変わるかもしれません。この記事では、対話型AIであるChatGPTを活用して、Excelやスpreッドシートの作業を効率化する具体的な方法を、初中級者向けに分かりやすく解説します。

関数や数式の作成から、VBA・GASといったマクロの自動生成まで、明日からすぐに使えるテクニックを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

ChatGPTに関数や数式を作成させる基本テクニック

ChatGPT活用の第一歩として、最も手軽で効果的なのが「関数・数式の作成」です。複雑な条件分岐が必要なIF関数や、特定のデータを探し出すVLOOKUP関数などで、どのように書けば良いか悩んだ経験はありませんか?そんな時、ChatGPTは優秀な相談相手になります。

大切なのは、ChatGPTに「何をしたいか」を具体的に伝えることです。例えば、以下のように依頼します。

Excelの関数を作成してください。
シートの状況:
・A列に「山田 太郎」のような形式で氏名が入力されています。
やりたいこと:
・B列に姓(山田)を抽出したいです。
・C列に名(太郎)を抽出したいです。
A2セルからデータが始まると仮定して、B2セルとC2セルに入力する関数をそれぞれ教えてください。

このように、シートの構成、入力データ例、期待する出力を明確に伝えることで、ChatGPTは精度の高い関数を提案してくれます。生成された関数をコピーしてセルに貼り付けるだけで、面倒な作業が一瞬で完了します。まずは簡単な数式作成から試してみましょう。

VBA/GASマクロを生成して定型作業を自動化する

関数だけでは対応しきれない一連の操作は、マクロ(プログラム)で自動化するのが効果的です。ExcelではVBA(Visual Basic for Applications)、GoogleスプレッドシートではGAS(Google Apps Script)が使われますが、プログラミング経験がなくても心配ありません。ChatGPTに日本語で指示するだけで、コードを生成させることができます。

例えば、「毎月ダウンロードする売上CSVデータを、社内フォーマットのExcelファイルに転記し、不要な列を削除して、日付順に並べ替える」といった一連の作業を自動化できます。プロンプトの例を見てみましょう。

プロンプト例(VBA):

あなたはExcel VBAの専門家です。

以下の処理を行うVBAマクロを作成してください。

# 処理の概要
「data.csv」という名前のCSVファイルを読み込み、その内容を「集計シート」のA1セルから貼り付ける。

# 詳細な手順
1. このVBAが書かれているExcelファイルと同じフォルダにある「data.csv」を開く。
2. CSVファイルの全データをコピーする。
3. 「集計シート」という名前のシートを選択する。
4. A1セルを起点として、コピーしたデータを貼り付ける。
5. 貼り付け後、D列(商品カテゴリ)とF列(担当者名)を削除する。
6. 最後にA列(日付)を基準に、データを昇順で並べ替える。

生成されたコードをVBE(Visual Basic Editor)やGASエディタに貼り付けて実行するだけで、面倒な月次作業から解放されます。プログラミングの知識がなくても、具体的な手順を言葉で説明できれば、誰でもマクロ作成に挑戦できるのが大きな魅力です。

不揃いなデータをクレンジング・整形する

手作業で集計したり、異なるシステムから出力したりしたデータは、表記ゆれや不要なスペースなど、不揃いな状態になっていることがよくあります。このようなデータを整える「データクレンジング」もChatGPTの得意分野です。

例えば、以下のような作業を依頼できます。

  • 全角と半角の英数字・カタカナの統一
  • 「株式会社」の表記((株)や㈱など)の統一
  • 住所データから都道府県、市区町村、それ以降を分割
  • 電話番号からハイフンを削除または付与

少量のデータであれば、Excelシートから該当範囲をコピーし、ChatGPTに貼り付けて「このデータを次のように整形してください」と指示するだけで十分です。ChatGPTが整形後のデータを表形式で返してくれるので、それをコピーしてシートに貼り戻します。大量のデータを扱う場合は、次章で紹介するプロンプトのコツを使い、整形用の関数やマクロを生成させるとさらに効率的です。手作業での修正はミスが発生しやすいため、ChatGPTに任せることで正確性と速度を両立できます。

実践的なプロンプトのコツと注意点

ChatGPTからより精度の高い回答を引き出すためには、いくつかコツがあります。また、業務で利用する上での注意点も押さえておきましょう。

具体的なコンテキストを提供する

「A列のデータをB列に」という曖昧な指示ではなく、「A列には『2024/05/20』形式の日付、B列には『1,500』形式の売上金額が入っています」のように、データの型や例を具体的に示すと、意図した通りの結果が得られやすくなります。

役割を与えてみる

プロンプトの冒頭に「あなたはExcel関数のエキスパートです」「あなたは熟練のGASプログラマーです」といった一文を加えることで、ChatGPTがその役割になりきり、より専門的で質の高い回答を生成してくれることがあります。

注意点:機密情報の取り扱い

最も重要な注意点として、顧客の個人情報や会社の機密情報などを直接プロンプトに貼り付けないでください。ChatGPTの学習データとして利用される可能性があります。自動化したいデータの「構造」や「形式」のみを伝え、ダミーデータを使って質問するように徹底しましょう。また、生成されたコードや関数は、いきなり本番データで使わず、必ずテスト用のファイルで動作確認を行ってください。

まとめ

本記事では、ChatGPTを活用してExcelやGoogleスプレッドシートの定型業務を自動化する方法について解説しました。複雑な関数の作成から、VBAやGASを用いたマクロの自動生成、さらには面倒なデータクレンジングまで、日本語で指示するだけで実現できる可能性を感じていただけたのではないでしょうか。

重要なのは、具体的な指示と明確なゴールをChatGPTに伝えることです。最初は簡単な数式の作成からでも構いません。一つでも業務を自動化できれば、その効果の大きさを実感できるはずです。

単純作業をAIに任せることで、私たちはより分析や企画といった創造的な業務に集中できるようになります。ぜひこの記事を参考に、あなたの日常業務にChatGPTを取り入れてみてください。